政治そのほか速
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損傷したエンジン、機体後部に開いた穴――。
広島空港(広島県三原市)で発生したアシアナ機の事故は、一夜明けた15日、国や広島県警による原因調査が本格化した。大惨事につながりかねなかった「その時」を、乗客らの証言から再現した。
韓国・仁川(インチョン)空港を14日午後6時49分に出発した機体に異変が起きたのは、着陸約10分前の午後7時55分頃だった。
突然、左右の翼が大きく揺れ、3回ほど急降下と急上昇を繰り返した。「吐きそうになるほどだった」。広島市佐伯区の女性会社員(52)は振り返る。
まもなく「ドーン」と突き上げるような激しい衝撃が起きた。着陸誘導用の無線アンテナに衝突したとみられる。機内上部の荷物入れの扉が開き、荷物が次々と落下。窓の外では、エンジンがオレンジ色の光を発していた。
そして、着陸時とみられる2回目の衝撃音が響いた。広島県廿日市(はつかいち)市の女性(58)は「雷が直撃したかと思った」。機内では、「頭を抱えろ」と男性が叫んだ。
その後も揺れが続く中、機内は真っ暗に。前方から煙が上がり、焦げた臭いが機内に充満。窓の外では、翼の先端部分が折れ曲がっていた。乗務員が韓国語のような言葉で何かを叫んでいたが、なかなか非常口は開かない。頭から血を流す人、泣きわめく子供たち。パニック状態に陥る乗客もいた。
乗務員が誘導する様子は見られず、やがて開いたシューターを使い、乗客が助け合って脱出した。