「もう少し彼と近づきたい。」「わたしだけが一方的に話している感じがする。」 こういった悩みをよく耳にします。
今回はちょっとした言葉遣いを変えるだけで、パートナーとの距離が近づくテクニックを紹介しようと思います。それは「私たち」という言い回しを使うテクニック。
例えば、彼と旅行の行き先について、相談しているとき。
「今度の旅行、どっか行きたいとこある?」 「あー、オレ、○○とか行きたいかな。」
――これはいたって普通の会話ですが、こんな風に変えたらどうでしょうか?
「今度の旅行、私たちどこ行こうか?」 「そうだな、オレたち○○とか行ってないよな? 行ってみる?」
どうでしょう? ぐっと「一緒に何かを考える」雰囲気が出ましたよね?
普通の質問の場合、「あなた」が主語であり、答えは「オレ」となります。これだと、お互いの距離は一定に保たれたまま。
それが「私たち」を主語にして質問するだけで、その質問の世界に相手を巻き込むことができます。そうすると答えも、「オレ」や「わたし」がどこに行きたいかの視点ではなくて、「私たち」がどこに行った方がいいかという視点になります。
こうして相手とうまく距離を近づけて、同じ世界を共有することができる。さらには、どちらかが一方的に結論を決めてしまうことも防げます。
「私たち」の魔法は、ケンカしたときなどネガティブな場面でも力を発揮します。
「いつもあなたは、怒ってばっかり!」などと言うと、きっと相手は「そんなことない!」と反論してきて余計に言い争いになり、仲直りのキッカケもつかめません。
ところが「私たち、いつも怒ってばっかりだよね。これからは気をつけよう?」という言い方に変えてみましょう。怒っている主語が「私たち」になることで、ふたりともが気をつけるということになり、相手を責める印象がなくなります。そうすれば彼も「そうだな。悪かった、気をつける」と反省してくれるかもしれません。
こんな風に、相手に注意をする・言いにくいことを言うときにも「私たち」を使うことで、いつもより和らいだ表現にすることができます。
「私たち」の魔法は、相手を自分を同じ目線に引き込むテクニック。それは相手との距離を縮めて、共感と平和を生み出すきっかけとなります。言葉遣いを気にすることで、大切な人との距離を上手に縮めていきましょう!
(五百田達成)
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「リア充アピール、ほんとうざいよなー」
「リア充爆発しろ!」
パートナーを持つ人に対するこうしたセリフは、最近は、ほうぼうでよく聞くはず。
日本では、昔から恋人や配偶者といったパートナーを明るく自慢する傾向がとても弱いように思います(=のろける)。現代でも「リア充」「非リア」という線引きが色濃くなり、「リア充」が「リア充アピール」=のろけをすることは、白い目で見られがち。
日本にはもともと、身内のことは謙遜して言う文化があります。古文の「謙譲語」(誰かに対する自分の動作をへりくだって言う言葉=自分の身分を下げるための言葉)は、自分はもちろん、自分の身内の行動にも使われますし、昔から奥さんのことを「うちの家内が…」「愚妻」と、少し身分の低いニュアンスの呼び方で言ったりしますよね。家族や配偶者などの身内については、人に対して自慢したり、身分の高いものとして扱ってはいけないという暗黙の了解が、ちょっとした言葉遣いの中にも見られるのです。
しかし、こうした日本の文化は少しずつ変わってきている様子。「日本愛妻家協会」という男性たちの愛妻家としての活動を推進するNPOが「1月31日は愛妻の日」と謳ったり、Twitterでは奥さんとのラブラブな雰囲気や、奥さんに対する愛のメッセージを絶え間なくつぶやくアカウントがとても人気になったり。
ある友人女性も「奥さんのことについて堂々と褒めたりのろけたりする男性のほうが素敵」と語ります。奥さんについて、本当にいい女だとか、ずっと愛しているとか堂々と言えてしまう人は、「パートナーを大事にする優しい人なんだろうな」と感じられるし、仕事だけでなくプライベートでも、自分の選択に自信を持っていると感じられて好感度が高いのだとか。
逆に、家族や配偶者、彼女を褒めることにためらいを感じていたり、ましてやけなしてしまうような男性は、「誰に対してもそういう風に思っているのかな」「家庭がうまくいっていないのかな」と思ってしまい、あまり好感度は高くないそうです。
もちろんそれは、女性についても同じこと。女性も、変にパートナーの愚痴を言うより、のろけるほうが「あ、彼氏を大事にする優しい人なんだな」と好感度が高いのです。
もしあなたに彼氏がいて、彼氏のほかにあなたのことを気になる人がいたとき。あなたが彼氏についてけなすよりも、あまり気にせずに普通にのろけたりちゃんと褒めたりしている方が、その人からの好感度がより高まるというわけ。…