政治そのほか速
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話題の3Dプリンター技術が、旅客機の製造に生かされはじめている。エアバスの最新鋭機A350XWBの製造・組み立てラインを取材するために訪れたドイツ・ハンブルク工場で、私はそのことを目の当たりにした。
●バイオニック・デザインを駆使して
「この部品をご覧ください。これは動物の骨格を参考にして設計しています。従来の部品と同じ強度で、3割も軽くできました」
奇妙な形をした金属パーツを手にそう説明してくれたのは、ピーター・サンダー氏。3Dプリンターを近未来の旅客機づくりに役立てる――そんなテーマで研究・開発に取り組むプロジェクトチームのリーダーだ。
サンダー氏が見せてくれたのは、旅客機のギャレー(厨房施設)にさまざまなキッチン器具を据え付けるための金属部品。チタンの粉末をレーザーで焼き固めていく3Dプリンターで作った。生物の構造や組織、発生・進化を研究してモノの設計に応用する“バイオニック・デザイン”が駆使されている。
「生物の形を追求すると、強さや軽さの面で圧倒的に優れていることが分かります。しかしコンピュータ上で計算はできるものの、造形があまりに繊細で、旧来の製造方法では容易には作れませんでした。それが、3Dプリンターを使うことで実際のものとして出力できる。画期的なことです」
●鳥の骨格を真似た未来コンセプト機
旅客機の開発・製造では、燃費効率を上げるためにいかに部品を軽量化するかが大きなテーマになる。1回のフライトごとに、売上額の3割が燃料費に消えてしまうからだ。
「部品を作るとき、従来の製造方法では材料の8~9割が削りくずになっていましたが、3Dプリンターなら素材の9割を有効使用できます」とサンダー氏は続ける。「3Dプリントした部品は来年(2016年)から実機への搭載がスタートする予定で、その後は補修用スペアパーツの在庫を減らせることも期待されています。何万点もの部品をいちいち揃えておかなくても、必要なときに必要な場所で3Dプリントできるようになりますから」
ハンブルク工場には巨大な建屋が並び、世界最大の総2階建て旅客機A380などの組み立て作業が進んでいる。その一角で3Dプリンター技術の実用化に挑むサンダー氏の構想は、部品づくりだけにとどまらない。「このデザインを見てください」と言って、彼はツタがからまったような骨組み模型を目の前に置いた。エアバスが発表した近未来のコンセプト機だ。…